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全般性不安症
全般性不安障害

全般性不安症
全般性不安障害

公開日: 2022.06.29 更新日:2024.10.01

全般性不安症とは

全般性不安症とは日常生活も含めてあらゆることに対して、不安を生じてしまう疾患です。

生活における不安とはどのように違うのでしょうか

日常生活における不安の症状と、全般性不安障害とはどう違うのでしょうか?

私たちは日常生活の中で不安や恐怖を感じることは珍しい事ではありません。危険や危機に直面しそうになるあるいは直面した際には、不安や恐怖を感じ、身を守ったりその状況を回避するために自然と身体が反応をします。

そして、そのような恐怖や不安は私たちが生きていく上でとても大切な感情です。

しかし、全般性不安障害では、日常のあらゆる行動に対して、過度に不安や恐怖が募ってしまいます。外出することや食事をすること、何かの兆候を不幸の兆候などと結び付けてしまうなど、客観的に見て必要以上の不安や懸念を生じてしまうことが特徴です。

また、全般性不安障害では症状の継続が、ほとんど毎日で6か月継続してしまうという点も特徴です。

全般性不安症は決して稀な疾患ではありません

全般性不安症は1年有病率は3~8%で、男性よりも女性の方が多くかかると言われています。また、精神科外来やメンタルクリニックの診療所などでは、約25%の方に全般性不安症が見られるとも報告されています。

なお、多くは青年期から発症することが多いのですが、受診に至るケースは中年の方や年長者であることが多いです。

全般性不安障害は他の疾患と合併しやすい

全般性不安障害は、他の精神疾患と合併しやすいことが特徴です。

不安症の一つである、パニック症や社交不安症・限局性不安症だけではなく、うつ病などの合併も非常に多いとされており、全般性不安障害の約50%以上の方に別の精神疾患を持っている可能性があると報告されています。

全般性不安障害の症状について

精神面の症状

  • 家に泥棒に入られてしまったらどうしようと不安
  • 家族が死んでしまうかもしれないと不安と恐怖
  • お金が無くなってしまったらどうしようと不安と恐怖
  • 銀行がつぶれてしまうかもしれない・どうしようと不安と恐怖
  • 家族や自分が何か大きな病気にかかっていたらどうしよう
  • 何か悪いことが起きるのではないかと不安とイライラが出てしまう

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身体面の症状

  • 肩こり
  • 頭痛
  • 疲労感・倦怠感
  • 筋肉の張り
  • 不眠
  • 集中できない

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全般性不安症症状が出た結果

上記のような症状が
長引くと…

  • 1 . 倦怠感が強くなり、日常生活に支障が出てしまう

    不安や緊張が継続してしまうことで倦怠感が強く出てしまう
  • 2 . 肩こりや頭痛などの身体症状が継続してしまい抑うつや不安などの症状が継続してしまうことも

    頭痛や肩こりの身体症状のために日常生活の支障が生じてしまったり、抑うつや不安症状が継続してしまう
  • 3 . 不安や緊張が湧いてきてしまうので、外出がおっくうになってしまう

    生活や外出のたびに不安や緊張が生じてしまい、外出がおっくうになってしまう

全般不安症・全般性不安障害の診断について

全般性不安症・全般性不安障害の診断基準A

仕事や学業における日々の活動の中で、過剰な不安と心配が起こってしまい、起こる日の方が起こらない日より多い状態が少なくとも6か月継続する。

全般性不安症・全般性不安障害の診断基準B

その心配や不安は自分では抑えることができないと感じている

全般性不安症・全般性不安障害の診断基準C

以下の6つの症状のうち3つ以上の存在がある

  1. 落ち着きのなさ・緊張感
  2. 疲労しやすい
  3. 集中困難
  4. イライラや易怒性
  5. 筋肉の緊張
  6. 睡眠障害

全般性不安症・全般性不安障害の診断基準D

不安や心配や、恐怖の身体症状のために、生活や社会的な行動に支障をきたしている

全般性不安症・全般性不安障害の診断基準E

その不調や障害は、薬物やほかの医学的な器質疾患によるものではない

全般性不安症・全般性不安障害の診断基準F

他の精神疾患ではうまく説明ができない

全般性不安障害の治療について

全般性不安障害の治療には薬物療法と精神療法などがあります

全般性不安障害の薬物療法

全般性不安障害の薬物療法には、不安障害にも適応のある選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの治療も有効です。

また、ベンゾジアゼピン系の薬剤である抗不安薬も有効ではありますが、全般性不安障害の治療には比較的長期化しやすい懸念もあるため、耐性や依存の面における配慮は大変重要です。

全般性不安障害の精神療法

全般性不安障害の精神療法は、患者の状態や症状の程度でも様々です。

時に、患者にとって、共感的な支持的アプローチが重要になる場合もあれば、継続する不安から生じてしまっている認知面へのアプローチも重要だからです。

このように不安という感情の理解に対しては、本人の状態や治療の経過に応じて様々ですが、通院治療を重ねることにより自分の病状への理解や変化を把握できるように張ることも大切なのです。

全般性不安障害は実は自分でも気づかれにくい

全般性不安障害は自分自身でも気づかれにくいことがあります。

以前から心配性であった・考え出すと不安が尽きないなどの自覚はあっても、まさか病名が付くような不安や恐怖とは最初は気が付かれないことも多いです。

そして、次第にその心配は他の人の程度とは違うことも自覚されることもありますが、「考えすぎでは?」など、”程度の問題”といった表現をされてしまうことで、他者に相談することをためらってしまうこともあります。

うつ病などの合併をきっかけに受診する方も

不安や恐怖が継続して、日常生活に支障をきたし始めると、抑うつ症状などのために引きこもってしまったり、家事や仕事が上手くいかずに、精神科や心療内科・メンタルクリニックへ相談をされ、初めて全般性不安障害と診断がつけられる方もいらっしゃいます。

全般性不安障害では、うつ病だけではなく、他の不安障害の合併も多い疾患ですので注意が必要です。

もし全般性不安障害に身近な人がかかってしまったら

全般性不安障害では日常のあらゆることが不安になってしまい、その不安な感情のために日常生活を送ることに支障が出てしまいます。

ご本人がもし、途切れない不安で困っている場合には、「気にしすぎ」「心配したってしょうがない」などの否定的な対応は、さらに自分だけで抱え込みやすくなってしまったり孤立してしまうなど、逆効果になってしまうこともあります。

もし生活に支障が出ている場合には、心療内科・精神科・メンタルクリニックなどの医療機関へ相談を打診してみることも有効です。また、ご本人さんが治療を継続できるように症状に応じた生活面の見守りなども大切です。