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病気不安症と全般性不安障害
病気不安症 / 全般性不安障害
公開日:2024.06.09更新日:2024.06.09
病気不安症について
病気不安症とは、何か病気にかかっているのではないか、あるいは病気にかかりつつあるのではないかととらわれてしまう疾患です。
DSM-5で新たに分類された疾患でもあり、身体症状がないことが特徴とされた疾患が「病気不安症」です。
病気不安症の診断基準
DSM-5の病気不安症の診断基準についてご紹介をいたします
診断基準A:重い病気であるあるいは、何か悪い病気にかかりつつあるという考えととらわれがある
診断基準B:身体症状は存在しないか、あっても軽度であり、心配する病気とは程度が異なり不釣り合いな症状である
診断基準C:健康に対する強い不安と、健康状態についての恐怖を感じる
診断基準D:健康に関する不安のために医療を受診するか、むしろ病院への受診を避けてしまう
診断基準E:病気であると考えたり病気について囚われている期間は最低6か月存在している
診断基準F:病気不安症以外の他の精神疾患では説明できない
病気不安症では、上記の診断基準を満たしていることが必要です。
病気不安症についての特徴
病気不安症の特徴は、病気にかかる、あるいは病気にかかっている恐怖が強調されてしまうことでもあります。
全般性不安障害と病気不安症の違いについて
全般性不安障害では、日常のあらゆる事やきっかけから不安を頂いしまうことです。全般性不安障害では病気にかかっているかもしれないことについても不安を頂きますが、それ以外にも些細なことをきっかけに何か悪い事が起きるのではないか、望ましくないことが起きるのではないかと、様々なことが不安になってしまう事が、全般性不安障害の特徴でもあります。
一方で病気不安症では、身体症状が内科あるいは軽微であるにも関わらず、病気にかかっている事に対する恐怖ととらわれが強いということが特徴です。そのような囚われのために、生活の重要な役割や役目に取り組めなくなってしまったり、医療機関を頻回に受診して検査を繰り返してしまうなどの行動が起きてしまうことがあります。
病気不安症と罪悪感
病気不安症のきかっけとしては、
■病気にかかっていることで得られる周囲からの防御と拒絶
■過去を含め、これまで体験した罪悪感から出る、自己への防衛と罰
の関連性も指摘されており、いわゆる「罪悪感」と「葛藤」から生まれうる疾患が病気不安症かもしれませんが、病気不安症の病因についてはまだはっきりとは分かっていません。
病気不安症の治療について
病気不安症の治療は、精神療法や心理療法による効果も大きく、患者様一人ひとりアプローチは異なりますが、例えば患者が自分の内面について受け入れるきっかけどこにあるのか、自分の許せないこと、過去への囚われや、罪悪感、自己肯定感など、気づきへの取り掛かりとしては、それはとても多岐にわたります。
しかし、そのような病気不安症の囚われの背景や認知面に、患者さん自身が気づく以前に、恐怖から生まれた不安感を緩和する薬物療法などを併用したり、抑うつ状態などの緩和などの併用も大切であることもあります。
野村紀夫 監修
医療法人 山陽会 ひだまりこころクリニック 理事長 / 名古屋大学医学部卒業
保有資格 / 精神保健指定医、日本精神神経学会 専門医、日本精神神経学会 指導医、認知症サポート医など
所属学会 / 日本精神神経学会、日本心療内科学会、日本うつ病学会、日本認知症学会など